2010年 06月 04日
棚田便り |
ソーラが里帰りした六月二日の朝、父ちゃんとぼくたちで久しぶりに棚田に出かけていったんだ。小諸市の宇坪入の棚田。日本の棚田百選にも選ばれてるところなんだよ。去年の秋にも一度、出かけていったっけ。
棚田についてすぐ、父ちゃんが「去年より休耕田が増えてるかなあ」って言ったんだ。
確かに、水を引かれてない田んぼが目立つかも。稲を植える代わりに、そういう田んぼには蕎麦が植えられてたよ。
実はさ、信州だけじゃないけど、こうした棚田の風景、消滅の危機にあるんだってね。信州のローカルテレビでも、この時期になるといつもその話題を取り上げてるよ。
一番の問題は後継者不足。棚田でお米を作る農家の人たちがみんな高齢化しちゃって、作業が大変なんだ。棚田って斜面に作るでしょう? のぼりおりするだけでも大変だよ。この日だって、朝の気温8度ぐらいだったけど、父ちゃん、汗だくになってたもん。
でも、棚田のある風景は日本の伝統、文化だからなくしちゃいけないって、みんないろいろ考えてさ、都会の人に田んぼ貸し出すなんてこともやってるんだ。その分、高齢化した農家の人たちの負担を減らそうってね。
だけど、都会の人が田んぼの手入れに来られるのは週末だけ。平日はやっぱり農家の人たちが田んぼの管理しなくちゃならなくて、これがやっぱり大きな負担で、今年はその田んぼの貸し出しを二割減らすってことになったんだって。
水を張って稲を植える田んぼが一枚増えるごとに、お年寄りの農家の人たちにかかる負担も増えていくんだ。
稲の代わりに蕎麦が植えられてる水の張ってない田んぼ見て、父ちゃん「政治がなんとかしなきゃならんのだけどなー」って呟いたよ。でもね、日本の政治家って口では「日本の伝統や文化を守らなきゃ」って言うけど、本音は文化なんかどうだっていいと思ってるんだって。だから、日本は民度が低くて先進国のなかでも伝統文化を守らない国なんだってさ。
「小説家引退して、おれも百姓になろうかな……でも、母ちゃんに大反対されるな」
そう言って父ちゃん笑って、棚田の写真を撮りはじめたよ。
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by walterb
| 2010-06-04 09:34
| 日常