2007年 05月 28日
父ちゃんとぼくの一日 |
6時40分ぐらいになると、ぼくは自然に目覚める。父ちゃんと母ちゃんが寝てるベッドの足元に移動して、じっと待つ。
父ちゃんが寝返りを打つ。ぼくの尻尾が勝手にばたばた動く。でも、父ちゃんはまだ寝たままだ。ぼくは尻尾を振るのをやめて、また待つ。
7時ちょうどに目覚ましが鳴る。父ちゃんが唸りながら目覚ましをとめる。ぼくはすくっと立ち上がって、父ちゃんの顔を舐める。放っておくと、父ちゃん、また寝ちゃうんだ。
父ちゃんはそれで起きる。顔を洗って、着替えて、カメラをチェックする。父ちゃんの後をついて歩くぼくの尻尾はぶんぶん揺れる。ぶんぶん、ぶんぶん、ぶんぶん。時々、居間のものを薙ぎ倒して叱られるんだけど、しょうがない。勝手に尻尾が揺れるんだ。
7時半ちょっと前ぐらいかな。ぼくたちは散歩に出かける。朝の散歩は一時間ぐらい。コースはふたつあるんだけど、最近は軽井沢も暑くて、ぼくがすぐばてるから、木陰の別荘地を練り歩くコースが多い。途中、シーズン以外はだれも来ない広い原っぱがあって、ぼくはそこでリードを外してもらって、思いきり駆けまわる。父ちゃんと遊ぶ。父ちゃんはどんな時でもカメラを放さない。
8時半頃家に戻ってきて、ぼくは玄関で待つ。母ちゃんが足を拭いてくれるんだ。父ちゃんは自分たちのご飯とぼくのご飯を作る。朝昼晩、父ちゃんはご飯を作る。料理が好きなんだって。その代わり、父ちゃんには後片づけの才能がない。これっぽっちもない。
朝ご飯を食べ終えて、お茶なんか飲んでしばらくのんびりする。10時になると、ぼくと父ちゃんは父ちゃんの仕事部屋に移動する。父ちゃんはメールのチェックして、撮った写真を整理して、仕事に入る。
仕事してるときの父ちゃんは怖い。邪魔すると叱られる。だから、ぼくは父ちゃんが仕事をしている間はおとなしく眠っていることにしてる。
父ちゃんは簡単な昼飯を途中で食うけど、ずっと仕事する。
3時頃になると、ぼくの身体がむずむずしてくる。もうすぐ父ちゃんの仕事が終わって、散歩に行けるってことがわかるんだ。
父ちゃんがパソコンの電源を落とすと、ぼく、飛びあがっちゃう。狭い部屋の中を駆けまわっちゃう。それで叱られるけど、やめられない。とまらない。
3時半にぼくたちは家を出る。遊び仲間がたくさん集まるドッグランへ行くんだ。ぼく、男の子たちとはあんまり遊ばないけど、女の子の匂い嗅いでへこへこするのが好きだ。
ドッグランで一時間ぐらい遊んだら、もう、晩ご飯の時間だ。軽井沢に来てから、父ちゃんたち、すごく早い時間に晩ご飯食べるようになった。
晩ご飯の後は、父ちゃんは葉巻をふかしながら本を読むかテレビを見る。父ちゃんたちが洋画を見はじめると、ぼくはひとりで父ちゃんの仕事部屋に行く。なんだかわからないけど、洋画の音が苦手なんだ。床で寝てると、ずしん、どすんって響くんだよ。
最後の散歩は9時過ぎ。軽井沢は真っ暗で、暖かくなると猪が出たりするから、夜の散歩は短い。ぼくがシッコとウンコすると、それで終わり。ちょっと物足りないけど、朝と夕方目一杯遊んでるからいいや。
森の奥の暗闇から、なにかの気配がする時がある。栗鼠かな? 野鼠かな? とにかく、ぼくが立ち止まって辺りの様子を伺うと、父ちゃん、恐がり出す。
「ワルテル、なにかいるのかぁ?」
だって。人間は暗闇が怖いんだってね。変なの。
夜の散歩から戻ると、父ちゃんはシャワーを浴びる。それから、赤ワインを飲みながら、また葉巻をふかす。赤ワインはボトル半分。それから、シングルモルト・ウィスキーってやつを一杯か二杯。飲み終えるとちょうど午前零時で、父ちゃんは歯を磨いてベッドに倒れ込む。
もう、毎日、毎日、この繰り返し。小説家の日常なんて退屈なもんだって、父ちゃんは言ってる。
でも、明日は違うんだ。父ちゃん、ウィスキーのイベントに呼ばれてて、昼から夜遅くまで帰ってこないんだって。母ちゃんも旅行に行ってるし、ってことは、ぼく、ひとりでずっと留守番してなきゃならない。
やだよー。
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by WalterB
| 2007-05-28 17:41
| 日常