2008年 02月 29日
腹が破裂する |
もう食えない。食い過ぎた。晩飯は抜くぞ。これ以上食い続けたら腹が破裂する。
食後にはいつもそう思う。
だが、悲しいかな、時間が経過すれば腹が減る。そしてここは欧州一の美食の都だ。食欲を刺激するものには事欠かない。
夜、郊外の村にひっそりと佇む「スベロア」というレストランに行く。築600年の建物を上品に改装した店に溜息をつき、心のこもったサービスに頬がほころぶ。
ドノスティアには食の最先端を行くバル、レストランが多いが、スベロアはバスク伝統料理を基本にした皿を出す。自制しようと決めていたはずなのに、出てくる皿を片っ端から空にしていく自分がいる。止められない。やめられない。
もうだめだ。もう食えない。腹が破裂する。
重たい身体を引きずって帰ろうとすると、シェフが出てきて店の由来やバスクの伝統文化について、こちらから訊ねたわけでもないのに、事細かに話しはじめた。
わざわざ遠方から自分の料理を食べに来てくれた客に対する、それが彼らのもてなし方なのだ。一見の客のために、わざわざグランシェフが挨拶に来てくれる日本のレストランがどこにあるだろう?
言葉がわからない外国人に、懇切丁寧に自国の誇り高い伝統文化を語る民族がどれほどいるだろう。
腹は破裂寸前だ。だが、実に気分がよい。
ああ、そうだ。この地では、ベロが発達しているということで、日本人が特別視されているという現実がある、ということは書き加えておこう。バスク人は日本人を、ベロを通した兄弟のように思っているのかもしれない。
人気ブログランキングへ ←ぽちりお願いします。
by walterb
| 2008-02-29 17:20
| 海外