2010年 08月 22日
愛犬カメラマンのための気まぐれ講座 11 |
すかり天狗になってしまった飛騨高山の山猿が、昨日、「今日撮った写真見てください。あえて日の丸構図です」と自信ありげに言ってきた。
写真を一瞥すると、見るも無惨。久々に雷を落としてやった。
日の丸構図というのは、画面の中央にでででーんとメインとなる主題を臆面もなく置いた構図のことだ。まったくの初心者にカメラを渡して撮らせると、この構図になることが多い。
今日の写真は厳密には日の丸構図ではないが、それに近いものを探してみた。
写真になによりも必要なのは、なにを撮りたかったのか、それを訴える力だと思う。それが写真に現れていれば、日の丸構図だろうがなんだろうがかまいはしないのだ。だが、見る人に訴える力が同じだけある写真が二枚あるとしよう。人の目はどちらに引きつけられるか。それは間違いなく、構図を計算した上で求心力を持つ写真の方になる。
つくづく、写真は構図なのだと思う。光を読む目も大切だ。一瞬のシャッターチャンスを逃さない嗅覚も必要だろう。しかし、光を読み、チャンスを掴んだとしても、構図が悪いとせっかくの写真からなにかが損なわれてしまう。
だから、プロでもアマチュアでも、写真に真剣に取り組んでいる人間はああでもない、こうでもないと四六時中、構図を考えているのだ。
写真技術はだれにだって学ぶことができる。絞りとシャッタースピードの関係、そこから導き出される露出のノウハウ、ISO感度のあれやこれや、2,3年カメラを持つ続けていればだれにだって体得できる。
しかし、構図はそうはいかない。数値化できないセンスが問われるからだ。
天狗になったどや顔の山猿は、だからいま、この構図で悩んでいる。小さな脳味噌で考えに考え、そして「とりあえず普段やらない日の丸構図で撮ってみよう」という安易なアイディアに飛びつき、酷い写真を撮ってきた。師匠のひとりとして、泣きたくなる。
構図構成力を高めるには、いい写真、いい絵画をひたすら見ることしかない。天才は別だけれど。これは凄いと思った写真を穴のあくほど見つめ、構図がどう構成されているのか分析し、それを真似て撮ってみる。それを何度も何度も繰り返しているうちに抽斗がいつの間にか増えていき、いろんな状況に対応して構図を整えられるようになっていくのだ。
わたしには絵心がない。美術の成績など酷いもので、絵を描かされるのが苦痛でたまらなかった。だが、それでもいい写真が撮りたくて無数の写真を、無数の絵画を見た。おれに絵心があったら、写真のレベルももう一段、二段あがるんだろうなあと思うこともしばしあるが、こればかりは仕方がない。ないものねだりをしても無意味だから、自分の能力が及ぶ範囲でできることをするしかない。
田舎の腕白小僧は勉強が苦手な代わりにスポーツが万能で絵が上手かったりするものだが、山猿くんはすべてを運動神経に奪われてしまったのだろう。
苦しめ苦しめ。その苦しみがやがて実を結ぶ。いつか。多分……。
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by walterb
| 2010-08-22 10:31
| 写真